氷の女王に誓約を
「このメンバーでジャンプ対決だなんて初めてだね~」
この間延びした独特の喋り方をする人は羽生さん。
二つ年上で現在大学三年生。現在の全日本チャンピオンである。
180センチを超す長身と、女子顔負けの柔軟性。そして日本人選手には珍しく表現力が世界的にも評価されている選手だ。
そしてもう一人、先ほどから俺に睨みを利かせている人物が。
「さっさとやろうぜ」
こちらは二つ下の高校二年生。西野大介。
現在世界ランキング第五位。日本人だけでなく、アジア人トップの地位にいる。
四回転ジャンプとステップを得意としていて、シニアに上がってからは一度も転倒していない。
常に高得点を叩き出すので、昨シーズンのベストスコアランキングでは二位となった。
女子の天才が美優なら、男子の天才は間違いなく大介なのだが、彼にも重大な弱点というか欠点がある。