氷の女王に誓約を

「……いや、なんでもない(平成生まれのくせに脳みそは昭和なのかこいつ)」


「そ、そうよね。一途な恋って素敵よね!(ピュアってレベルじゃねーぞ)」


「そうそう。赤い糸で結ばれた真実の愛が一番だ(残念なイケメンだなぁ)」


なんだか取ってつけたような言葉が贈られる。


まあいいや。今は恋愛話をする時ではない。


このプログラムをどうするかだ。


なんとか本題に戻って、俺がシェヘラザードを滑れるかどうかという議題になった。


問題は俺とは似ても似つかない王様を演じきれるかどうか。


有名で人気のある楽曲だから、ジャッジもこのストーリーを概ね把握しているだろうから誤魔化しは通用しない。


しかもSPという短い時間で王様が更生する様まで演じるのは難しい。


せめてFPにコンバートしようか? いやでもFPは別の曲で滑りたいし……。


混沌とした最悪の状況の中、静かな水面に一石を投じたのは有香さんだった。
< 42 / 400 >

この作品をシェア

pagetop