氷の女王に誓約を

普通なら「少し見ない間に大きくなって」とでも言うのがセオリーだろうが、悲しいかな恐ろしいほど見た目は全く変わっていない。


まあ十五歳だし、成長期もまだまだこれから。


「それで、どれくらい日本に居られるんだ?」


会う度に問うテンプレートな質問。


だが今回は冗談混じりに聞いてみると、朝飛は小さく吹き出して、満面の笑みで答えた。


「六十年ぐらいは居られるんじゃないかな?」


そう、朝飛は戻ってきたのだ。


バンクーバ五輪に出場するために―――






バスに乗り込んで向かう先は我が家といきたかったが、朝飛の希望で大学に直行した。


なんでも大学のリンクを見に行きたいらしい。


そういえば去年帰ってきたときは、製氷機が壊れていて結局見ることが出来なかったっけ。
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