氷の女王に誓約を
好きな時に好きなだけ練習できるという環境は、日本中探してもこのリンクぐらいしかないだろう。
ホームリンクに足を進めると、誰か練習をしているのかエッジの音が響いてくる。
確かこの時間帯は……。
「朝飛キュンッ!」
朝飛キュン?
名前の後ろが気になったが、いちいち突っ込むのも面倒なのでスルーしておく。
颯爽とリンクサイドに駆け寄ると、美優は朝飛を思いっきり抱きしめた。
「美優姉ぇ……苦しいよぉ」
「あ、ごめんごめん」
さっと離れるがまだ興奮冷め切らぬのか、美優は朝飛の肩を掴んだままピョンピョン跳ねた。
美優と朝飛が直接会うのはもう一年以上も前。
テンションが上がるのも無理はないか。