氷の女王に誓約を
無論、朝飛はそのことを知った上で帰国した。
理由は三つ。
一つ目は今のままでは五輪に出場することが出来ないからだ。
フィギュアスケートの五輪出場年齢は十五歳以上。これはギリギリセーフ。
ただ問題は国籍にある。
GPSや世界選手権では国籍など関係なしに、所属するスケート連盟の代表として大会に出場することができる。
朝飛はイギリスのスケート連盟に所属していたので、JGPSはイギリス代表として闘ってきた(世界選手権は年齢制限に引っ掛かり駄目だったが)
ただ五輪ではこれが出来ない。
例え所属先がイギリスのスケート連盟でも、イギリス国籍がなければその国の代表として五輪に出場することは叶わない。
日本人の両親で、日本で生まれ育った朝飛にはイギリス国籍があるわけがない。
帰化してイギリス国籍を取得する手もあるが、それには色々と複雑な手続きや条件が必要だし、それに父さんのロンドン出張も一生というわけではない。