氷の女王に誓約を

立ち上がって更衣室へ向かう。


予備のスケート靴はいつもロッカーに置いてある。


ロッカーの鍵を解除してスケート靴を取りだし、それを朝飛に手渡した。


本来他人のスケート靴で滑るなど論外だ。


靴のサイズももちろんだが、靴皮の堅さ、靴の構造、ブレードの種類、エッジの研磨具合。それらは選手によって全て異なる。


幸い俺と朝飛のスケート靴は、靴もブレードも同じ物を使っているから多少は互換性があるものの、特注品のため微妙に内部構造が異なる。


滑りは出来るだろうが、ジャンプは流石に難しいだろう。


準備運動が終わると慣れた手つきで靴を装着し、すぐにリンクに上がって確認するように滑り始める。


「どうだ? イケそうか?」


「スゲーいい! やっぱmaed in japan は格が違うなぁ」


「お前が使ってたのも日本製だろ。予備の靴でまだ履きなれてないから、それが良かったんだろ」
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