氷の女王に誓約を
十分身体を動かして、軽く2Aを跳んだ。
アクセルの軌道も入り方も美優と瓜二つ。というより完全コピー。
さすが美優信者。彼女のジャンプを参考にして練習してきただけはある。
だが美優と一つだけ違うところをあげると、ジャンプの高さだろう。
男子と女子で比べるのもおかしな話だが、寸分違わず同じ跳び方なのに朝飛の方が高さがある。
朝飛の演技はネットで探したりして観てはいたが、生だと迫力が違う。高さがあってダイナミックだ。
「とんでもないのが帰ってきたなぁ」
今日手渡しばかりの靴だというのに、次々とジャンプを決める朝飛を見つめながらポツリと呟く。
独り言だったが隣の美優の耳に届いたようで、彼女は笑みを向けながら「不安?」と一言話しかけた。
そうじゃないと首を振ると、綺麗な2A-3Tを跳んだ朝飛の姿を視界の端に捉えた。
「寧ろ楽しみ。また三人で大会に出られるし、もしかしたら兄弟揃って表彰台だって夢じゃないだろ?」