氷の女王に誓約を
一回転半
違和感
「あっ」
四回転の練習中、アクシデントが生じた。
未だに四回転が安定しない中、本日何回目のか転倒。
だが転んだ瞬間、聞きなれない金属音が耳に届いた。
恐る恐る視線を足元にやると、想像した通りの状況が飛び込んだ。
ブレードにヒビが入っている。
最近どうも滑る感覚に微妙な違和感があったのでそろそろ来る頃だろうとは思っていたが、こんなに早く来るとは。
なかなか立ち上がらない俺を心配したのか、大塚さんが近付いて来たので、俺は小さく溜息を落としながら右足を軽く上げた。
「あちゃー。やっちゃったね」
四回転ジャンパーなら誰しもあるだろうアクシデント。
ブレードに負荷をかけないようゆっくり立ち上がり、一先ずリンクサイドへ引っ込んだ。
靴を脱いで注意深くブレードを眺める。