氷の女王に誓約を

どれもこれも半回転ほど回り過ぎて、無情にも氷に叩きつけられる。


ジャンプのタイミングが合わない? だけど靴を変えたからって、こうもタイミングがズレるなんて普通じゃない。


リンクサイドの大塚さんは、俺の靴を手にとってブレードのエッジを凝視している。


「やっぱ違うよな……もしかして……」


ブツブツと独り言を喋る大塚さん。


俺もこの違和感が気味悪くなって、大塚さんの元に駆け寄った。


「どうしたんでしょう俺? ジャンプのタイミングが急に合わなくなって……」


こんなこと今までなかった。


成長期の時でさえ、一回転が跳べなくなるなんてことはなかったのに。


まさか突然のスランプ?


もしこんなこと本田コーチにバレたら……。


まずい。絶対まずい。
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