幸せタクシー
今日は本当に雨が酷い。
帰りのHRで、はぁっとため息漏らしながら、窓を眺める。
よりによって今日は、歩いて帰らなきゃならない…。
朝から降り続けている雨。
だから朝は、お母さんに学校まで送ってもらった。
お母さんはいつも遅くに仕事が終わるから"帰りは、電車乗って歩いて帰りなさい"そう言われて切符代を渡されていた。
私の通う中学校は、ちょっと田舎よりだと思う。
いつもは家から中学校まで自転車で行く。
けれど雨の気だるさに負けて、お母さんの車に乗った。
それに、帰りには止むだろうって思っていたのに、
朝よりも酷く音を立てる雨音にイライラしてくる。
雨の中歩くと、服も靴も鞄も濡れるし傘をさすのもめんどくさい。
だから雨って嫌。
またひとつため息を大袈裟にハァッと吐く。
電車に乗ったって歩く距離はそんなに変わらない。
私の家は、中途半端な位置にある。
切符代払うくらいなら、いつもの通学路を歩いて帰った方がいい。
そう思い、ひとりで納得したように頷く。
切符代は、お小遣にしよう。