幸せタクシー






今日は本当に雨が酷い。



帰りのHRで、はぁっとため息漏らしながら、窓を眺める。




よりによって今日は、歩いて帰らなきゃならない…。


朝から降り続けている雨。


だから朝は、お母さんに学校まで送ってもらった。



お母さんはいつも遅くに仕事が終わるから"帰りは、電車乗って歩いて帰りなさい"そう言われて切符代を渡されていた。



私の通う中学校は、ちょっと田舎よりだと思う。


いつもは家から中学校まで自転車で行く。



けれど雨の気だるさに負けて、お母さんの車に乗った。


それに、帰りには止むだろうって思っていたのに、


朝よりも酷く音を立てる雨音にイライラしてくる。





雨の中歩くと、服も靴も鞄も濡れるし傘をさすのもめんどくさい。


だから雨って嫌。



またひとつため息を大袈裟にハァッと吐く。




電車に乗ったって歩く距離はそんなに変わらない。


私の家は、中途半端な位置にある。



切符代払うくらいなら、いつもの通学路を歩いて帰った方がいい。


そう思い、ひとりで納得したように頷く。



切符代は、お小遣にしよう。



< 11 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop