幸せタクシー
母さんの言葉をずっと無視し続け、家に着くと何も言わずに部屋へ上がる。
…悔しい。
俺は、頑張って来たのに…。
鞄から教材を投げ捨てベッドへ寝転んでいると
ガチャッと
ドアをノックもせずに入ってくる妹。
「なに?」
イライラしている俺は、少し申し訳なさそうにしている美貴を睨みつけた。
美貴:「その、ごめんねお兄ちゃん…。お母さんからお兄ちゃん、就職すること聞いて…。…アタシ、大学頑張るから…。」
謝るくらいなら、お前が諦めろよ。
何が、"頑張るから"だよ。
美貴の言葉を無視して俺は乱暴に口を開く。
「出てけよ。うっとうしい。」
美貴:「っ!?せっかく謝りに来たのに!アタシだっていっぱい考えたもん!お父さんがいたら、絶対分かってくれるもん!」
ガンッと俺は、部屋の壁を思いっ切り叩き、その音に妹はビクッと体を揺らした。
「あぁ゙っ!煩いな!出てけよ!家に帰ってくんな!親父の話なんかすんじゃねぇよ!」
美貴:「…っ!お兄ちゃんのバカ!大っ嫌い!!」
バンッとドアを閉めて、勢い良く階段を駆け降りていく妹の足音が頭にガンガン響く。