幸せタクシー
少し経ってお腹が空き、俺はキッチンへ向かい、冷蔵庫から何か腹の足しになるものをと探していると、美貴が鞄を持って俺の前を通り過ぎる。
母さん:「美貴、…アンタこんな時間にどこ行くの!?」
リビングでビール片手に寛いでいた母さんが、ムスッとして、玄関の方へ歩いていく美貴に話し掛ける。
美貴:「友達のノンちゃんのとこ!」
母さん:「やめなさい。こんな嵐に危ないわ。…修一、何か言ってやってよ。どうせまた喧嘩したんでしょう?」
はあっとため息を着くなり、母さんは俺の方を見て俺に何かを言わせようとしている。
「行くだけ無駄。どうせ一人で行けずに、途中で帰って来るんだろ?」
ちょっと嫌みを交えて俺は、自分自身の苛立ちをぶつけるように、美貴に向かって言ってやった。
美貴:「無駄じゃない!!ちゃんと一人で行ける!ノンちゃん家に泊めてもらうから!お兄ちゃんの顔見なくて済むからね!」
「あー煩い!さっさと行けよ!」
母さん:「もうよしなさい!修一、アンタお兄ちゃんなんだから、これ以上美貴を苛立たせないで!…美貴、やめときなさい。」