幸せタクシー




美貴:「行ってきます!」


そう大声で、俺に向かって言い放つとドンドンと足音を鳴らして美貴は玄関へ行く。

母さん:「待ちなさい!美貴、何考えてるの!危ないって言ってるでしょう?」


美貴を追って美貴の腕を掴むと母さんが怒鳴る。


美貴:「煩いな!お母さんには関係ないじゃん!!」


母さん:「関係あるわよ!ノンちゃん家って、遠いじゃない。車に乗りなさい!」


美貴:「電車に乗って行くから大丈夫だもん!」


母さん:「いいから車に乗りなさい!」



「母さんが飲酒運転で捕まったら美貴のせいだ。」

また嫌みったらしく美貴に追い撃ちをかけるように俺が言うと母さんが怒鳴る。


母さん:「修一は黙ってなさい!こんな日に、出歩く方が危ないんだから!」


美貴:「お兄ちゃんの馬鹿!ムカつく!お母さんの車には絶対乗らない!私は一人で行ける!!」



バンッドアを開けて出ていく美貴の姿に母さんは呆れたようにため息をついた。


そして、「もう勝手にしなさい」と小さく呟くと、夜ご飯の支度にかかった。





フンッと、自分の中のイライラをぶつける宛てもなく俺は再び部屋に上がった。







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