幸せタクシー
そのサラリーマンの話は、本当らしく運転手さんに相談したんだって。
"今の会社を辞めようか迷ってる。辞めて事業を開きたいが、成功するかが不安で前に進めない"
そこまで私に説明すると紗英は、口調を強めてさらに話出す。
紗英:「そしたらね、運転手はまるで全てを知っていたような口調でこう言ったの。"アナタの目指すその事業は成功します。幸せになれますよ。"」
「…不思議な人…。」
私はそのサラリーマンがその運転手さんの一言で本当に幸せになったことよりも、
そう言った運転手さんのことの方が何故か気になった。
紗英:「…そうね。運転手もそのタクシー事態も不思議。タクシー会社を調べてみてもそう言ったタクシーの噂とかのデータが全くないの。」
紗英は顎に手を当ててウーン、と考え込む。
紗英:「まぁ、そのサラリーマンの人は幸せになったってことしか分からないけど。」
…"幸せになった"、そう言った紗英の言葉に、疑問を持ってしまう。
私には、分からない。
「紗英、…幸せってなに?」