空になったセブンスター
高校二年の春、まだ中学生とも思える新入生たちがやってきた。
俺らも一年前はそんな風だったんだなと遼祐は口にした。
いつも通りさくらと帰っていると、後ろから遼祐と呼ぶ声があった。
振り向くと、純太郎と美雪の姿があった。
美雪は以前の黒髪をやめ、栗色の髪になっていた。

『これから遊び行かない?』
『どこいくの?』
『ゲーセン行こうぜ。みんなでプリ撮ろーよ。』

思えば、さくらと付き合い始めてからプリクラを撮ったことはなかった遼祐は快諾した。

近所で一番大きいゲームセンターに着いた四人は、他のゲームにわき目もふらず、プリクラ機の中に入っていった。
みんなして変な顔をしたり、はにかんで笑ってみせたり、真面目にポーズをとってみたりと、大いに楽しんだ四人は、帰路についた。

『いい思い出になったな…』
『何言ってんのよ。おおげさね。』

少し俯きがちな美雪にさくらが笑ってみせた。

『あれ?まだいってなかったのかよ?』
『?』
『うん、なんかさくらには言いづらくて…』
『え?何なのよ?』
『あたしね…来月転校するんだ。』

これには遼祐も驚いた。さらにさくらは絶句した。

『嘘でしょ?』

明らかに元気の無い笑顔でさくらが問う。冗談であってくれたらと願うさくらの気持ちは遼祐にも感じられた。

『親の都合だってさ。俺も最初はめっちゃ怒ったし落ち込んだ。でもどうしようもなかったんだよ。だから、あと一ヶ月こいつには笑顔で居続けられるようにって思ってさ…』

さくらはその場で泣き崩れた。時折、嘘でしょなどと口にしていた。

『美雪、今日は帰んな。落ち着いたら後で連絡入れさせるから。純も…今日は楽しかったよ。またな。』
『ありがと、遼クン。じゃ。』

小刻みに震えてる美雪の肩に優しく手を置く純太郎を見送った後、さくらを立たせた。

『歩けるよな?今日はずっとそばにいてやるから。』

遼祐の胸は、さくらの涙で溢れた。
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