【短編】きみとぼくの未来図

「……」


沈黙が二人の間を流れる。
ぼくの頭のなかは未だに鐘が鳴り続けている。


良い返事が得られた時と断られた時、両方のシーンを想定していた僕だったが、どうやら想像以上にショックは大きいらしい。


しばらく放心状態で鐘の音を聞いていると、ズルッという鼻をすする音と共に嗚咽が耳に届いた。




「…早紀?」


早紀は肩をピクリと揺らし、顔が見えないように俯いた。

早紀は意地っ張りで、泣き顔は見せたがらない。
こんな時でも早紀の変わらない仕草を愛しいと感じてしまう。

(なかなか諦められそうにないな…)



自分の諦めの悪さに大きく溜め息を吐くと、更に嗚咽が酷くなった。


さすがに早紀が心配になり、その細い肩に手を伸ばした時…





「………私、別れない…っから!!」



嗚咽混じりに、けれどハッキリと告げられた言葉に、僕は目が点になった。




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