偽りの結婚(番外編)
「もう一度……何だ?」
シェイリーンを見下ろすラルフは、悠然と微笑みながらそう言う。
不自然なくらいに綺麗な笑みを作るラルフ。
「もうい……んんッ……。」
シェイリーンの言葉は、再び途切れた。
ラルフがシェイリーンの口を塞いだ事によって…
自分で促した癖に、言わせないのかよ。
決して、口外出来る雰囲気ではないので…というか、本人達はもう既に、俺の存在など忘れているようなので、心の中で突っ込む。
「おーい、まだ俺がいるんですけど?」
一応声をかけてみる。
このまま、この二人のラブシーンを見せつけられるのもごめんだしな。
すると、ようやく、ラルフが顔を上げる。
「っは……ぁ……。」
シェイリーンは、もう息も絶え絶えな様子。
「ロイド、少し席を外せ。」
やっと顔を上げたかと思えば、手短に伝えられる退室の命。
「はいはい、喜んで。」
そう言って、椅子から立ち上がる。