偽りの結婚(番外編)
「さぁ、もうすぐネイル王国の王宮正門だ。」
何事もなかったかのように話すラルフに、ハッと我に返る。
また、固まっていた……
うぅ……やっぱり、コレに慣れろなんて無理よ……
両手で、熱くなった頬と額を冷ましながら、外を見る。
冬を越したといっても、まだ春というには寒いこの季節。
けれど、頬に当たる風はちょうど良かった。
「あれが、正門?」
「あぁ、そうだ。」
前方に見える大きな門を指して呟けば、ラルフが頷く。
「す、すごい………。」
ネイル王国の正門を前にして、それ以外の言葉で形容する事が出来ない。
目の前に見える…否、そびえているのは、縦に横に広がる大きな門。
特に、正門から横に続く城壁は、右から左へと見渡してみても、端は見えなかった。
土地が広ければ、王宮の敷地も広いのね。
「王宮を囲う城壁は全長15㎞あるそうだ。」
「じゅっ、15㎞!?」
どおりで、端が見えないはずだわ。
「ネイル王国は、王宮の敷地面積も隣国の中で一番広いからね。」
そう言っている内に、大きな正門を抜けた。