偽りの結婚(番外編)



扉を開くと、赤い絨毯に導かれるように、その上を歩く。


そして、王座へ着くと―――

「ブルーム様、オフィーリア様、お久しぶりです。」

ラルフの声に、慌てて頭を下げる。



「本当に久しぶりじゃのう、何年振りか?」

ゆっくりと、威厳のある声で話すのは、ネイル王国の国王。

ブルームと呼ばれた人だ。


「1年ぶりくらいですわ、貴方。」

隣でほわほわと柔らかい笑みを作り、優しい声で答えたのは、オフィーリアと呼ばれた王妃様。

しかし、すかさず横から訂正の声が上がる。



「違います母上!1年と3カ月です。」

「あら、そうだったかしら?」

そう言って、ほわほわと柔らかい笑みを作ったまま、間違えた事を大して気にしていない様子。



「ウィリアムの言う通りですよ、オフィーリア様。」

ラルフはこの状況に慣れているのか、笑いながら声をかける。



「あら、そうなの?」

「そうですよ、母上。」

はぁ…と、溜息を零しながらそう言うのは、ウィリアムと呼ばれた人。

横には、可愛らしい女性が付き添うように座っていた。

もしかして、この人………




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