偽りの結婚(番外編)
「可愛らしい方じゃないの。」
続いて、王妃様のニコニコとした笑顔と、温かく見守るような視線。
良かった……
第一印象は悪く取られなかったみたい。
「ありがとうございます。」
ラルフは、そう言って微笑む。
「お前にはもったいないな。」
「煩いぞ、ウィリアム。」
ウィリアム王子とラルフのやりとりに、周囲は笑いに包まれる。
そっか……
ここにいる人たちは、昔からのラルフを知っているんだ。
だから、こんなにも遠慮のない間柄なのね。
思わず、周囲の温かい笑いにつられて、ふわりと微笑む。
すると、一瞬にして周囲の時間が止まった。
「………?」
どうしたんだろう。
目を丸くする周囲の人々に、驚いて、私もまた目を瞬かせて驚く。
そして、隣のラルフが、はぁ…と深い溜息。