偽りの結婚(番外編)
シェイリーンの瞳に溜まっていた涙が一気に溢れ…
ギュッ―――――
今度は、シェイリーンの方から抱きついて来た。
そして―――――
「ごめ…んなさ…っ……。」
嗚咽交じりに、言葉を紡ぎ出す。
「ひっく……ごめ…っ…なさ……っ…。」
しきりに“ごめんなさい”を繰り返すシェイリーン。
小さい体が震え、頻りに謝る姿に、見ているこちらが切なくなるほどに胸が締め付けられる。
「何も言わなくていい。」
何に対して誤っているかは、大体予想がつく。
しかし、それはこの場でなくともいい。
今は、迷路園を出て、屋内に避難するのが先決だ。
頭からすっぽりと、なるべく雷の音が耳に入らないようにマントを羽織らせ…
震えるシェイリーンの体を抱き上げる。
「ウィリアム、王宮へ戻るぞ。」
「あぁ、急ごう。」
そうして、シェイリーンを抱えながら、迷路園の出口を目指した――――