偽りの結婚(番外編)
温かい………
ふわふわして、体が浮いている様な感覚に、身じろぐ。
フルフルッ…と睫毛を震わせた後に、ゆっくりと瞳を開く。
「ここは……。」
目を開けたそこは、ネイル王国の王宮からあてがわれた部屋だった。
昨日は、外の景色を楽しむためにカーテンを開け放していたが…
今は、カーテンを閉め切り、部屋の明りが淡くつけられていた。
何故ここに……?
そう思いながらも、ゆっくりと体を起こすと、ズルッ…と体から落ちるもの。
「ッ………。」
それは、見慣れたマントだった。
マントの下には、ゆったりとした夜着。
そうだ………
迷路園でウィリアムと一緒に出口へ向かっている時―――
空気と地面を震わせるような雷に動けなくなって。
心配してくれるウィリアムに申し訳ない気持ちと。
どうしようもない恐怖を感じて、身動きできなかった私の元へ来たのは……