偽りの結婚(番外編)
記憶をたどっていると……
カチャ…――――
部屋の扉を、そっと開ける音がした。
その音に引かれる様にしてそちらを向けば…
「シェイリーン、起きていたのか。」
深いブルーの瞳を軽く見開き、近付く、最愛の人。
「ラルフ……。」
ベッドに腰をおろし、目の前に来たその人の名を呼ぶ。
「起きた時に部屋が暗いと、外の雷の光が気になると思ってね。部屋の光で起こしてしまったならすまなかった。」
ラルフの問いに、首を横に振ることで応える。
そんな私に、ラルフは、「それから…」と、思い出したように、気まずい顔をして…
「その服だが、僕が着換えさせた。」
「ッ……!」
やっぱり……
ラルフの告白に、サッ…と顔を赤く染める。
「君は、迷路園の出口へ向かう間に気を失ってしまって。けれど、濡れた服をそのままにしておくわけにもいかなかったからね。」
すまなかった…と、再び謝るラルフ。
私も、再び首を振って応えた。
ラルフが謝る事じゃないのに……
謝らなければならないのは、私の方……