偽りの結婚(番外編)
けれど、ラルフは目を軽く見開いた後、ククッ…と笑う。
「何故って…当然のことだろう?」
「そんなこと…だって私は昨日……。」
言いかけた所で、言葉は途切れる。
だって、この状況は、なんだか私一人がすねているみたいで…
本当は二人の問題なはずなのに、ラルフはもう気にした様子もないから。
こんな事を言うこと自体が子供なのかもしれない…と思うと、口は自然と閉じた。
しかし、ラルフは、私の言いたい事を察したようで…
「お互い様だよ、シェイリーン。僕の方こそ、昨日は頭ごなしにあんな事を言ってしまって、すまなかった。」
私も、意地を張ってごめんなさい…
そうラルフに告げようとした時だった―――
ピカッ……ドンッ――――
「ッ………!」
部屋の中まで聞こえてきた雷の音に、体がビクッ…と震えた。
思わず背筋が伸び、俯いていた顔を上げれば、こちらを見つめるラルフと目が合う。
「怖いんだろう?」
何も言わずとも、そう聞いてくるラルフ。
すぐに、頷けなかったのは、まだ仲直りしていなかったから。
こんな時にだけ甘えるなんて、都合の良い奴だ…なんて思われないか心配だった。