偽りの結婚(番外編)
「ガーネットさんが、貴方が昔付き合っていた女性は、もっと大人な女性だったって……」
口にしながらも、ズキンッ…と心は痛む。
「だから、私も大人の女性に近づきたかったの。」
ラルフの好みの女性になるために……
私の告白に、軽く目を見開くラルフ。
「それで、香水だったのか?」
優しく促す様なラルフに、コクンと頷く。
「香水をつければ、少しは大人の女性に近づけると思ったから。……けど、それは違っていたわ。」
そう言ってラルフに向けた笑顔は、ぎこちなかった。
だって、恥ずかしかったから。
香水をつければ、大人の女性になれると思っていた自分が…
「外身をいくら飾ったって、大人の女性にはなれない。そればかりか、私は貴方にあんな当たり方をして…。子供って言われたって仕方なかった。」
意地を張って、あんな突き放し方をして。
自分が惨め過ぎて、涙が溢れそうになる…
それを、キュッ…と、ラルフの衣服を掴むことでやり過ごす。
「違うんだシェイリーン。僕は、そう言う意味で君を子供と言ったわけじゃない。」
え………?
私が子供っぽい事を言ったからじゃないの?