偽りの結婚(番外編)
「じゃぁ…どういう意味で?」
他に覚えはないのだけれど…
ドキドキと早鐘を打つ心臓で待つ。
ラルフは、少し躊躇うそぶりを見せた後――
「あれは……僕の独占欲だ。」
「独占欲?」
ギュッと強く抱きしめられた後に、ラルフが呟いた言葉に、首を傾げる。
「あぁ……。化粧をして、綺麗にドレスアップした君を、他の男の前に出したくなかった。」
「ッ……そんな心配いらないのに…。」
ストレートに気持ちを伝える言葉に、かぁ…っと顔が赤くなる。
ラルフが心配するような事はない。
だって、今までも、男の人にもてた試しがないのだから。
だから、ラルフが私の事を好きになってくれたのが不思議なくらい。
なのに……
「いいや、ある。君は、自分の魅力に気付いていないだけだ。」
ラルフは、私の体を離し、目を見てハッキリとそう言った。
真っ赤になった私の顔が、深いブルーの瞳に映される。
そんな断言されても……
今までが今までなだけに、素直に認める事も出来ない。