偽りの結婚(番外編)
ヒヤヒヤと、ラルフの反応を伺っていたが―――
「君に、そんな行動力があったとは意外だな。」
目を丸くして、驚いているラルフ。
幸運にも、ラルフには気付かれなかったようだ。
ラルフにとっては、私が自力で逃げてきた事の方が意外だったらしい。
「必死だったの。」
レナードの思ってもみない告白と誘い。
そして、ガーネットとの関係。
一瞬で、罠にかかったと気付かされたから。
逃げなきゃ…と思って、咄嗟に取った行動が“突き飛ばす”という行動で…
突き飛ばした本人でさえ、驚いたくらいだ。
ラルフが驚くのも無理ない。
それはそうと……
ラルフだけじゃなくて、私だって気になる……
「ラルフこそ……。その……何もなかったの?」
恐々と口を開く。
「何がだ?」
ラルフは、質問の意図が分かっているのか、分かっていないのか。
読めない表情で返される。
そっか………
ラルフは、ガーネットとレナードが婚約者でもないと言う事を知らないのかもしれない。