偽りの結婚(番外編)



「ガーネットとは何もなかったよ。」


「え……?」

キスの後の余韻に浸っていた頭で、間抜けた返事をする。




「ガーネットに寄りを戻さないかと言われたが、謹んでお断りしたよ。」

そう言って、ニッコリとあの紳士スマイルを向ける。

きっと、“謹んで”と言うのは嘘なのだろう。




ラルフは、続けて口を開く―――



「だから、ガーネットとは寄りを戻していないし、過去の女性たちとも寄りを戻す気は毛頭ない。」


「ッ………本当?」

恐る恐る問えば、本当だ…と言って微笑むラルフ。


良かった……

その表情に、やっと安堵した。

そして、ラルフに問う。



さっきは、聞けなかった事を…


「ラルフは……?」


「え?」

言葉足らずな私に、ラルフが疑問の声を上げて返す。



「私の事……好き?」

伝え切った後、ギュッと目を閉じる。



< 336 / 547 >

この作品をシェア

pagetop