偽りの結婚(番外編)



性急に上がる熱について行けず、ラルフの名を呼べば…

リップ音と共に、唇を離してくれた。



しかし……

トサッ――――――

息をつく間もなく、ベッドへ押し倒される。

背中に感じる、柔らかいベッドの感触。

そして、頭上には私の手をベッドに縫い付けているラルフ。




「君はさっき、僕の事を優しいと言ったが……」

息を整えながらラルフを見つめれば、ニッコリと笑って口を開く。



「それは違ったようだ。」

その表情と発言に、嫌な予感がしたのは、気のせいではない。



「今日は、寝かせてやれない。」

「ひゃっ……!」

ビクンッ…―――――

耳元で囁かれた低温の声に、甘い疼きが体中を駆け巡る。



しかし、その危険な言葉の内容は無視する事は出来ない。

寝かせてやれないって……

手に力を込めても、グッ…と抑えつけられ、微動だにしない。




「そんな潤んだ瞳で睨まれても、今日は止めてあげられないよ?」

今日も……の間違いでしょう?

ラルフの言葉に、心の中で突っ込みを入れる。



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