偽りの結婚(番外編)
「まるで手本のような感想をありがとう、ラルフ。」
後半は良かったぞ!と背中を叩くウィリアムに、ラルフは呆れた表情をしている。
しかし、ウィリアムはとんでもない事を口走る。
「まぁでも、男のお前が持っているのもおかしいだろう。」
それをお前が言うか…と言いたげなラルフ。
これには、会場の招待客もざわざわと訝しげな声が所々で上がる。
しかし、ウィリアムは気にした様子もなく、続けた。
「花は美しい女性の為にあるものだ。」
悪戯を思い浮かんだ少年の様な笑みを浮かべる。
そして――――
「ラルフ、そのブーケ、このホールにいる女性にあげたらどうだ?」
ザワッ――――
招待客からまたざわめきの声が上がる。。
皆、あのブーケが欲しいのと…
他でもないラルフから貰えるかもしれないと言う期待。
言われた本人は、一瞬考えた後に…
「それは名案だな。」
ウィリアムと同じ、悪戯な笑みを浮かべた。
てっきり却下するものと思っていたけど、嫌な顔一つせずに承諾したことに驚く。