偽りの結婚(番外編)
そっか……今日は私の誕生日なんだ。
自分でも忘れていた誕生日。
毎年の誕生日と言えば、ディランとアリア、ベルナルドと一緒に過ごしていたけれど。
それも、アリアが私の誕生日を覚えていてくれての事だったから。
今年も、アリアが教えてくれたのね…
心の中で、几帳面なアリアに感謝していると――
「受けとってくれないのかい?」
ラルフが、花束を持ったまま、困った様な笑みを浮かべる。
そうだ…今はラルフが誕生日を祝ってくれているんだった。
「ッ……ご、ごめんなさい。ありがとう、嬉しいわ。」
慌てて、ラルフから腕いっぱいの花束を受けとれば、じわじわと実感がわいてくる。
今日の誕生日で、20歳。
やっと、私も成人できたのね…――
20歳の誕生日を祝う、バースディカードがより実感をもたらしてくれた。
大きな花束を、ギュッと抱きしめて、喜びを噛みしめる。
今までの中のどの誕生日よりも嬉しい。
だって、今日で私は大人の一員だから。
やっと……
やっと、ラルフの隣に並べた気がする。