偽りの結婚(番外編)



ドキッ―――


「わざわざ?」

「あぁ。」

両手で抱えた花で、ほんのり赤くなった頬を隠す様に話す。



「朝が苦手なのに?」

「あぁ。」

クスッと笑い声交じりの返事。



「私の……ために?」

かぁ…と赤くなる顔を花に埋めて、視線だけでラルフを見上げれば…


「あぁ、そうだ。」

そういって、蕩ける様な極上の笑みを浮かべるラルフ。



その笑顔に、キュッーっと胸が締め付けられ……

ラルフから貰った花を、そっとベットに置くと―――



ギュッ――――

目の前の広い胸へ抱きついた。



「シェイリーンッ!?」

突然の私の行動に、ラルフは焦った様な声を上げる。

咄嗟に距離を取ろうとするラルフの首に腕を回し、キュッと抱きしめ…



「ありがとう、ラルフ。」

改めてお礼を言う。



そして……―――

「大好き。」

いつもなら言わない言葉が出てきたのは、今日が20歳の誕生日だから。



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