偽りの結婚(番外編)
シェイリーンに酒は与えないようにしなければいけないな。
そう思い、大きく溜息を吐いた。
……さて、どうやってこの場を切り抜けるか。
いっそ潰れるまで酒を飲ませて眠らせるか…
それとも、望み通りにしてやるか。
いや、そうなれば止まらなくなるのはこっちだ。
悶々とこの状況を切りぬける方法を考えていると…
「やっぱりまだわたし子供なの?」
眉を寄せ寂しそうにそう言うシェイリーンに、激しい程の動悸が一瞬静まった。
「子供じゃ手を出す気にもなれない?」
そんなわけない。
むしろその逆だ。
今だって、気を緩めれば押し倒してしまいそうな程、自分を抑えていると言うのに…
「ラルフが今まで付き合ってきた女性の様には出来ないかもしれないけど、上手くできるようになるから。」
プツンッ……―――――
煽る様なその言葉に、何かが切れた音がした。
抑えられない欲を抑える様ににギリッと噛みしめ…
「ッ……シェイリーン、君は自分が何を言っているのか分かっているのか?」
すると―――――
「分かっているわ。」
熱を含み潤むエメラルドグリーンの瞳。
酒がもたらす熱に翻弄されているだけではなく、確かにシェイリーンの意思も見えた。