偽りの結婚(番外編)
それと分かった瞬間…
グイッ――――
胸に添えられた手を取り、思いっきり引く。
そして、その力に逆らうことなく倒れてきたシェイリーンを受け止め、身体の位置を反転させる。
トサッ――――
ゆっくりとベッドの上へ寝かせ、先程と逆になった。
細い手首をベッドへ縫いとめる様にしてシェイリーンを見下ろす。
「いいか、今自分が言った事を覚えておくんだぞ?」
そう言えば、シェイリーンはキョトンとした顔をする。
「明日の朝、覚えていないと言っても知らないと言っているんだ。」
覚えていないと言われれば、悪者になるのは自分だ。
それに、忘れられることほど辛いものはない。
今ならまだ引き返せる。
そう思っていたが……
「覚えてる……だから教えて?」
ふわりと微笑むシェイリーン。
「ッ……っとにコレだから無意識は性質が悪いんだ。」
チッと小さく悪態をつき、シェイリーンの後頭部に手を差し入れる。
プラチナブロンドの髪ごと頭を支え…
一気に距離は縮まった。