偽りの結婚(番外編)
「んんッ……!」
押さえつける様な深い口づけ…―――
普段はシェイリーンが恥ずかしがる為、触れるだけの口づけなのだが…
そんなことを気遣ってやれる余裕は欠片もなかった。
「ふっ……ぁ…んッ……」
甘く喘ぐその声も。
首に回される手も。
全てが愛おしくて……
酸素を求めて苦しそうに喘ぐ声が聞こえているのに止まらない。
しかし、それでもシェイリーンは抵抗する。
「ゃ……ラル…待っ……ッ。」
「待てない。」
片手を抑えられている為、もう一方の手で胸を叩かれる。
と言っても、痛くも痒くもない抵抗なのだが…
「ラル……っふ…ぁ……」
あまりにも抵抗を示されるので、一旦唇を離す。
そして、シェイリーンを見下ろせば…
腕の中でハァハァと肩で息をしているシェイリーン。
しどけなく吐かれる息は色香を含んでおり。
本当に苦しかったのか、エメラルドグリーンの瞳は潤んでいた。
けれど、それすら欲を煽る材料でしかなく。