偽りの結婚(番外編)
左手でベッドに押さえていたシェイリーンの手を放す。
そして、そのままベッドと背中の間に手を滑り込ませ、抱き上げる。
「………?」
いきなり手を放され、身体を起こされる事に戸惑うシェイリーン。
「ラルフ……あの……」
混乱するシェイリーンの頬に手を差し入れ…
「そんなことをする必要はない。」
「え?」
意味は分かっているだろうに、シェイリーンはポツリと呟く。
「身体で繋ぎ止めるなんてもう考えなくていいと言っているんだ。」
「ッ………!」
途端、眉を寄せて押し黙るシェイリーン。
口をキュッと結ぶ代わりに、瞳が潤む。
また誤解をしているのだろう。
「君が悪いと言っているんじゃない、シェイリーン。」
顔をこちらへ向かせ、優しくそう言う。
「僕は君が思っている以上に、君に囚われている。」
微笑んでそう言えば、ピタッと涙が止まる。