偽りの結婚(番外編)
ここまであからさまに態度に出されると、こちらだって思い知らされる。
それに加え、毎晩理由もなく遅い帰り。
アリアに浮気と言われてもしょうがなかった。
やっぱり浮気なの……?
小さかった不安は、アリアの言葉によってジワジワと広がって行く。
私に触れなくなったのは、飽きたから?
帰りが遅いのは、他に通う人が出来たからなの?
「捨てられたらどうしよう…」
ポツリと呟いた言葉にじわじわと不安が押し寄せる。
「ラルフ様がシェイリーンを捨てるわけないじゃない。」
「…………」
アリアの言葉に押し黙る。
確かに今までのラルフを思えば、その可能性は少ない。
結婚してもう1年と数カ月。
一度だってラルフの浮気を疑った事はなかったのに…
「ラルフ様を信じきれないの?」
黙ったままの私にアリアが問う。
「そうじゃない…そうじゃないけど……」
胸にある不安が答えを濁らせる。
「ごめんなさい取り乱して。ラルフを信じなきゃダメよね。」
不安をグッと押し込めてそう答えた。