偽りの結婚(番外編)
ノルマン家に行ってから一週間―――
今日も一人ぼっちの夜が来た。
サイドボードの灯りのみが照らす寝室。
ベッドに横になって考えるのは、今ここに居ないこの部屋の主人の事。
アリアには、ラルフを信じる…なんて言ったけど…
あれから一週間経ってもラルフは相変わらずだった。
昼間は別に避けている様な素振りもなくいつも通りなのに。
夜になるとわざとらしく帰りの時間をずらして帰って来るし、何だか余所余所しい。
愛されているという自覚があったから我慢出来たけど、こうも長く続くと不安は増していくばかりだった。
本当に捨てられちゃうの……?
もし本当にラルフに捨てられたらどうしよう。
スターン家の実家にはもう帰れないし。
王宮から抜け出した時の様に、ノルマン家にお世話になるわけにはいかない。
ギュッ―――――
また………
ベッドの端に横たわったまま小さく身体を折り曲げる。
もうこの痛みにも慣れてしまった。
口ではラルフを信じていると言っておきながら、こんなにも不安が押し寄せる。