偽りの結婚(番外編)
ラルフの視線に、更に顔を赤らめながら、意を決して口を開く。
「キ、キスマーク・・・。」
それを言うのがやっとだと言わんばかりに、呟いた。
シェイリーンの身体の所々に散らばる赤い花びらのような痕・・・
それは紛れもない、キスマークだった。
本当の夫婦になれたその日から、このキスマークが消えたことなどない。
薄くなっては上から塗り替えられ、数も増えていった。
シェイリーンの言葉に、ラルフは目を丸くする。
そして、ふっと笑い、あぁ、そんなことか・・・などと言うではないか。
「なっ!そんなことって・・・。あれだけ、付けないでとお願いしたじゃないですか!」
キスマークを付けられることが嫌なわけじゃない。
むしろ、ラルフの愛情が自分にあることが分かって、嬉しい。
目に見えない愛情だからこそ、こうして確認できるキスマークで安心できるのかもしれない。