偽りの結婚(番外編)



ラルフの視線に、更に顔を赤らめながら、意を決して口を開く。


「キ、キスマーク・・・。」

それを言うのがやっとだと言わんばかりに、呟いた。



シェイリーンの身体の所々に散らばる赤い花びらのような痕・・・


それは紛れもない、キスマークだった。

本当の夫婦になれたその日から、このキスマークが消えたことなどない。

薄くなっては上から塗り替えられ、数も増えていった。




シェイリーンの言葉に、ラルフは目を丸くする。

そして、ふっと笑い、あぁ、そんなことか・・・などと言うではないか。


「なっ!そんなことって・・・。あれだけ、付けないでとお願いしたじゃないですか!」




キスマークを付けられることが嫌なわけじゃない。


むしろ、ラルフの愛情が自分にあることが分かって、嬉しい。


目に見えない愛情だからこそ、こうして確認できるキスマークで安心できるのかもしれない。




< 5 / 547 >

この作品をシェア

pagetop