偽りの結婚(番外編)
そして、シェイリーンが困ったような笑顔を見せた。
その表情に全てを察する。
レナはこうして家族がそろうのを心待ちにしていたのだ。
微笑ましい言葉に和むが、その反面普段は何も言わないレナに我慢をさせていたのだと思うと心苦しい。
家族がそろわないと言うのは大体自分が関係していて。
いつもレナやレオと接するシェイリーンは気づいていたのだろうが、一度も公務を休んで家族の時間を作って欲しいなどとは言わなかった。
きっとレナやレオに言い聞かせていたんだろう。
“父様は仕事だから”と……
本当に君は良くできた妻だよ、シェイリーン。
「レナ、寂しい思いをさせてすまなかったね。」
そう言ってレナの頭を撫でれば、レナが嬉しそうに首を横に振る。
「ううん、パーティーも父様がいれば楽しいから!」
幼い双子も王族の一員。
パーティーへの出席を強いることは躊躇われたが、双子はシェイリーンほどパーティーを嫌っていなかった。
レオは大人しく参加するし、レナはパーティーの雰囲気を楽しんでいる。