ジキルハイド症候群



「分かってるわよ」

「恵里ちゃ~ん」


ぎゅうっと横から抱きつかれる。


「、こら、蒼真が寝てるんだから」

「むぅ……恵里ちゃんの膝を占領するなんてっ」


いけませんっと亜理砂は、ぺしぺしと蒼真の頬を叩く。
なんと言うか、亜理砂って怖いもの知らずというか……。


「蒼真に怒られてもしらないからね?」

「蒼真さんなんて怖くないですよー」


ふふふっと叩きながら笑う亜理砂だったが、がしっと手首を掴まれてピシリと固まる。


「………良い度胸じゃねぇか」


地を這うような低い声に、亜理砂はヒッと悲鳴を上げた。


亜理砂と二人、恐る恐る下に目を向ければ無理矢理起こされた不機嫌さを全面に露にしている蒼真の姿だった。


「そ、蒼真さん……」

「お、おはよう……」

「………」


無言のまま、むくりと起き上がる。


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