ジキルハイド症候群



「あんたのお友達が教えてくれたのよ」


拳を握りしめながらあたしは茉里を見下ろした。


茉里が、ニヤリと笑った。


「―――バラしちゃった訳?あいつら」


たく、役に立たないなぁと茉里はやれやれと肩を竦める。


「お金で釣ったの失敗だったなぁ」

「………いいから、バッチ返しなさい」


そうしたら、殴られたのはチャラにしてあげる。


「あたしの手元にはないし」

「嘘」

「嘘じゃないわよ」


ほらっと徐に制服を脱ぎ始めたかと思えば全部を逆さまにした。
バッチ特有の音もなく、バラバラと落ちてきたのはリップとか、目薬。


「ほらね?」


どうよ、と笑う茉里に、あたしは唇を噛み締めながら、視界に映った茉里の鞄に意識が向く。


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