ジキルハイド症候群



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サアアッと風が通りすぎていく。


『今、………なんて?』

『別れよう』


グシャリと心臓が鷲掴みされたようだ。
今、蒼真から紡がれた言葉を頭の中で反復する。


『嘘、でしょう?』


信じられないよ。
だって、言ってたじゃない。
ずっと一緒だって、好きだって……


視界が揺れる。
嘘だと言って欲しくてすがり付くように蒼真に手を伸ばす。


『触らないでよ』


しかし、触れる寸前で別の手に振り払われた。
その人物を見るなり、あたしは目を見開く。


『………茉、里…?』

『別れようって言われたら潔く別れたら?』


どうして、茉里が?
蒼真を見れば視線が逸らされる。


嘘でしょう?
茉里が大嫌いだって言ってたじゃない。
俺は、他の男とは違うんでしょ?


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