ジキルハイド症候群



『蒼真、』

『分かんないかなぁ?やっぱり陵南さんもあたしの方がいいの』


あんたよりね、と茉里が蒼真に同意を求めるが蒼真は無言だ。
無言は、肯定を表す。


『な……んで…?』


そうなの?
今までが、全部嘘だった?
あの優しかったのも、全部演技?


溢れた涙が頬を伝う。


『ありがとうね、お姉ちゃん』


するりと、茉里の手が蒼真の腕に絡み付く。
にっこりと笑いながら二人はあたしに背中を向ける。


いや、嫌だよ蒼真。
やっと信じようと思ったの。
幸せを感じられるようになったの。
茉里を好きって嘘よね?
ねえ、蒼真、蒼真、そうま………。






――――――――――
―――――――


「待って、蒼真!!」


ハッと目を開けると目の前には見慣れた天井。


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