ジキルハイド症候群



あたしは、力を振り絞って何とか体を起こした。
たったそれだけで息が上がる。


「……っ」


熱ってこんなにきつかったかしら……?


何時もの倍以上かかりながら何とかリビングにまで辿り着く。
階段を降りている途中で倒れそうになったのには心臓が冷えた。


「……おはよぅ」

「おはよう、恵里………」


台所に立っていたお母さんは、フラフラあたしを見るなり血相変えた。


「恵里、どうしたの」

「熱い……熱、出たみたい」


空笑いをしてソファーに座ると、どっぷりと疲れが押し寄せてくる。
お母さんは、体温計を片手にあたしの隣に座る。


「お腹の痣のせいかもね……病院に行きましょう」

「……ん」


脇に体温計を挟み、お母さんのひんやりとした手があたしの額に置かれる。


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