ジキルハイド症候群



メールフォルダーを開いて送信ボックスを開く。
メール一件送信されていた。


「勝手に……」

「感謝する方でしょ」


感謝なんてするわけない。
今日熱が出た自分を恨む。


「茉里、ありがとう。ほら、学校遅れるわよ」

「はーい」


いってきまーすと元気に茉里が出ていく。その元気さが何かを予兆しているかのようで、不安になる。


きっと、あんな夢を見たせいだ。
そうよ、あれは夢。
夢なんだから。


じっと携帯を見つめていると画面が一瞬真っ暗になった。
刹那、それは着信画面へと変わる。


着信画面に表示された名前にあたしは自然と頬が緩むのを感じる。
直ぐに通話ボタンを押した。


「――――蒼真?」

『どうしたんだ?』


心配そうな大好きな蒼真の声だ。


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