ジキルハイド症候群
人違いからの始まり
『あたし、彼氏出来たんだ』
ニッコリとあたしに似た笑顔で報告してきた妹の茉里。
『………良かったね』
『うん。………ねぇ、お姉ちゃん』
『なに』
『彼氏、誰だと思う?』
机に広げていた教科書から視線を上げて、茉里を映す。
ニヤリと勝ち誇ったような笑み。
双子でもなく、2つ違う妹なのに、その顔はあたしと瓜二つ。
ただ違うのは、纏う雰囲気。
それと、性格。
『………山本君でしょ』
『ふふっ。同じ顔なのに、男はお姉ちゃんじゃなくあたしがいいみたいね』
『よかったわね』
茉里の嫌味を言うのはいつものことだから気にしない。
それが気にくわなかったのか、茉里は眉を寄せた。
『そんなんだから、男は離れていくのよ』
『………話が終わったなら、出てって』