ジキルハイド症候群



「もし…もし………」

『あ、起きてたぁ?』


高めの声が頭に響いて片目を瞑る。


「何の用よ……」


やっぱり出なければよかった、と思いながらもあたしは言葉を投げる。


『何の用ってそれほどの事はないんだけどー』

「(だったら電話してこないでよ)」


小さくため息をつく。
用がないならきるわよ。


『ただねー、言いたいことがあって』

「………何」

『クスクス……そんな機嫌悪くならないでよ』


低い声になったあたしを慰めるような声に誰のせいだ、と叫びたくなった。


『バッチ、何に使うか、知りたかったでしょ?』

「!!」


電話越しに金属がぶつかる音が聞こえた。


『今から、使うんだけどー、何に使うと思う?』


当ててみて?


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