ジキルハイド症候群



――――くだらない。


その一言だ。


「………早く、返しなさい」

『今ねぇ、保健室にいるんだぁ』

「………」


あたしの言葉なんかお構いなしに話を進めていく。


『ちなみに、保健医は出張中』


(だから、何だと言うの)


熱のせいか上手く頭が働かない。
中々答えを言わず回りくどいやり方に苛立ちを覚える。


「………言いたいことがあるなら早く言いなさいよ」


こっちは、一杯一杯なの。


『もう少し付き合ってよ。そして、ここ保健室にゲストを招待しました。』


さて、誰を招待したでしょうか?


(ゲ……スト……?)


何故だか、嫌な予感がした。


クスクスと笑い声が耳朶に残る。
思考とは裏腹に心臓が不規則に脈を打ち出す。


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