ジキルハイド症候群



『今から来るんだよ?蒼真が』

「っあんたが蒼真って呼ばないで……!!」

『いいじゃん。どうせ今からあたしのになるんだから』

「何言って……!」


あたしは、頭に血が上ったままクラクラしながら茉里に怒鳴る。
息も上がり、携帯を持っているのがやっとの状態だ。


『バッチを取った理由はね?あたしが海江田恵里になること』

「!」

『そして、恵里になって―――蒼真に抱いてもらうの』


全てが終わった後に正体を明かす。
蒼真は、恵里じゃなく、茉里を抱いたの。恵里を裏切ったことになる。


『そうして、蒼真は、あたしのになる』


クスクスとさも良い計画だと茉里は確信している。
なんて卑怯な、そして可哀想な計画。


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